愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】





これだからチャラチャラしたヤツは気に食わない。

好きだのひと目惚れだの、口先だけでそんなことを囁けば女がみんな寄ってくると思ったら大間違いだ。





恋愛に割く時間なんて、今まで一度もなかった。

一時期の感情で左右される愛だとか恋だとか、必要だと思ったことは一度もなくて、それを羨ましいと思ったこともない。




むしろいつも恋愛なんてものには"そんなモノ"と見下していたのかもしれない。

だから余計に、こんなふうに陥った私の目の前に今、"そんなモノ"があることが許せない。



好きにならなくていい、これ以上歩み寄ってこなくていい、これ以上私を見ないでほしい。




「瀬名川、お願いだから」

「でも葉ちゃん。経験してないことを今探してるんでしょ?」

「……」

「だったら、俺と一緒に始めてみようよ。"恋愛"ってモノを」

「え?」

「いろんな初めてを経験しようとしてたんでしょ?だから、そのうちの一つを俺としようって言ってんの」

「な、なんでアンタとなんか……」

「だからもう、今後一切あんな物騒なところに行かないって、誓ってよ」

「……っ」




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