愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
04.
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今まで興味の欠片もなかった学校という場所をよく観察すると、瀬名川は私のとなりクラスのD組にいた。
そして、「あの書道女と祥がくっ付いた」「祥の言う通りだった」「なんで選りによってあの人なの?」といった噂をよく耳にするようにもなった。
少し耳を傾けるだけで、誰かの声はこんなにも混濁と絶え間なく流れている。
少し視線を上げるだけで、誰かの視線は絶えず様々な場所に交差する。
いつか私も、この鬱陶しい世界に慣れることができるのだろうか。
何も考えずにその場を楽しんで、努力の変わりにその場の快楽を求める。
あれだけ忌み嫌っていた"普通"と"平凡"に、馴染むことなんて──。