愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
「……ねぇ、瀬名川」
「ハハッ、葉ちゃんいつになったら俺のこと祥くんって呼んでくれるのかな?」
「毎日、こうやって一緒に帰るだけでいいの?」
「……ん?」
「もっとこう、恋人として……っていうか」
「んん!?」
「私、普通がよく分からないから、その」
学校の帰り道、いつもどおりにいつもの道を二人で歩いていた時、ふと思ったことが口に出た。
瀬名川はいつも、昼休みに一緒にご飯を食べることの他に、こうして一緒に帰る以外のことを求めない。
たまに休み時間になると教室に来てどうでもいい話をしてくるけれど、それ以外のことは一切何もないから余計に、何も知らないはずの私が不安になる。
「え、え、それって……もしかして俺とイチャイチャしたいってこと?」
「はぁ!?」
「え、だってそういうことじゃないの!?」
「だ、誰もそんなストレートに言ってないじゃん!」
「じゃあどういうつもりで言ったのさー!」
「そ、それは……」