仮定法過去の恋〈下〉
「それなら、帯までそろえるのは難しいから、今日は浴衣だけにしましょうか」



「はい、その子は浴衣が紺色で、帯が赤色のものを着ていて」



「赤っていうのはどっちの色味に近いかしら」

店員さんは親切に聞き取りながら、恭平のイメージから浴衣を選んでいく。



浴衣を絞っていくと3枚になった。




ひとつめは白に近いピンクの地色にピンクと紫の薔薇が描かれる現代風。

ふたつめは紺色に水色と白で紫陽花が描かれるすっきりとした浴衣。
っつめは白地に大きな赤色の椿とその葉が描かれたシンプルでレトロな模様。




「どれも素敵だね」

と陽菜がこちらを向いて笑ったから、思わず頷いてしまう。




浴衣であるのは同じだけど、それぞれの浴衣持つ印象はまるで違う。





舞子さんが着ているところを想像してみる。

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