仮定法過去の恋〈下〉
やっぱり、今日の舞子は調子が狂っていた。
得意な裁縫は針で指をさしてしまって全然進んでいなかったし、歌唱の時には1番と2番の歌詞を間違えて歌ったり、背中を曲げて1日過ごす舞子は3年間で初めてであった。
見かねて、一緒に帰ろうと誘うと、断られることも受け入れることもされなかった。
「舞ちゃんひとりで帰ったら、車にはねられちゃいそうだから」
「そんなに私酷いかしら」
と薄幸に口をゆがめる。