仮定法過去の恋〈下〉




だって。




数か月前までふんわりと上気した頬をして自分の見に行った芝居を語ってた。



恥ずかしそうに浴衣着て微笑んで待ってくれていた。



まっすぐな字で手紙とはいえないくらいの短いメッセージをやり取りしていた。





「君たちに何があったのか、陽菜さんのおばあさまに免じて今回は見逃すけど。早く教室に戻れよ」




そう言って佐藤は立ち去ろうとしたが、思い直し、恭平の方を向く。


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