【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
 今まで『ラブベリー』で読んできた小説では、字下げ自体してないのも多いし。
 三点リーダーなんて一つだけの人もいれば、むしろ中点(・)を六個使ってる人もいるし。
 まさかそんなところからダメ出しされるとは思わなくて傷つく以前にポカンってあっけにとられた。

「せめて統一しないと読みづらい」
「そ、そう?」

 読みづらいとは思わなかったけどなって疑問に思ったけど、そういえば書籍化した作家さんは本になったときそういう風に直してたってことを思い出した。

「あと、文章がおかしくて読みづらいとこ結構ある。『彼の笑顔にわたしの胸がキュンとなった』って書けばいいのに、なんだよこれ? 『胸がキュンとなった。わたしが彼の笑顔に』って、なんとなく意味は分かるけど文章おかしすぎ」
「うっ……うう……」

 感想が文章そのものに対してのことになったとたんグサグサと突きささる。
 文章がおかしいっていうのは美乃梨ちゃんたちにも言われてたから少しは覚悟してたけど、やっぱり直接指摘(してき)されるのは結構メンタルに来る。
 玲衣くんは幼なじみで遠慮(えんりょ)がないからなおさら。

 ううぅ……もうギブアップしていいかな?

 早くも弱音をはきたい気分でいると、玲衣くんが「あとは……」って続けた。

「まだあるの!?」

 流石につらい!
 悲鳴みたいに声を上げて玲衣くんを見る。
 でも玲衣くんの表情は優しい笑顔で、私は『もう聞きたくない』って言葉を口に出来なくなった。
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