【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
***

「期末テストも終わったし、次の作品はこのコンテスト用にしようか」
「え!?」

 その週末、もはや定番になっている玲衣くんとの小説勉強会で告げられた。

「無理だよ! 落ちるに決まってるよ!」

 すぐに拒否(きょひ)の言葉を口にする私だけれど、玲衣くんは真面目な顔で(さと)してくる。

「落ちるかもしれない。でも、応募(おうぼ)してみなきゃわかんないだろ?」
「うっ……それは、まあ……。で、でも、このコンテスト一万文字以上の作品からだよね? 私、そんなに長いの書いたことないよ!?」

 そう、『ラブキュン短編コンテスト!』の応募要項(おうぼようこう)には一万文字以上三万文字以内っていう文字数制限がある。
 三作目でやっと五千文字の作品を書けたばかりの私に、一万文字以上なんて書けるとは思えなかった。

「でも五千文字の作品、プロットふくめて五日で書けただろ? 七月十五日の締め切りまでは二十日以上ある。莉緒なら書けるよ」

 そう言って玲衣くんは私の大好きなふわっとした笑みをうかべる。
 メガネの奥の目も優しく細められて、胸がキュンとなった私は言葉につまっちゃった。

「プロットのチェックとか、今回も俺が出来るところは手伝うから。やってみようぜ?」
「う……わかった」

 ほれた弱みってやつかな?
 頭をポンポンッてされたら、頑張ってみようって思えちゃったんだ。
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