【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
きらめく
「お母さん、変じゃない? うしろの髪はねてない?」
「大丈夫よ。……ふふっ、ほほえましいわねぇ」

 はじめてのデートに緊張(きんちょう)する私にお母さんはやわらかい笑みをうかべるだけ。
 ほほえましいって、私は玲衣くんに少しでもかわいいって思われたくて必死なのに!

 今日着ているのは、ちょっと前にお母さんが私に似合うと思って、と買ってくれたピンクのワンピース。
 女の子らしいかわいいデザインだけれど、フリルとかは(ひか)えめで甘すぎないタイプ。

 髪型はハーフアップにして、以前紗香とショッピングしたときに買った水色とピンクの小花デザインのバレッタで留めた。
 バレッタも紗香に「似合うよ!」って太鼓判(たいこばん)をおしてもらえたから大丈夫だとは思うけど……。

 ピンポーン

「っ! 来た。じゃあお母さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、気をつけてねー」

 十時ピッタリに鳴ったチャイムの音にあわてて玄関に向かった。
 ドアの前で軽く深呼吸をしてから開けると、外の熱気といっしょに夏の日差しが入ってくる。
 そんなまぶしいほどの明かりに照らされて、私の大好きな幼なじみが立っていた。

「おはよ、莉緒。行こうぜ」
「う、うん」

 水色の半そでワイシャツにキレイ目な黒のジーンズ。
 シンプルな格好だけれど、クールな印象の玲衣くんにはピッタリだった。
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