【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
「そ、そうだよ! 莉緒ちゃんが美乃梨の作品パクったのは事実じゃん!」
「それって運営に消されたレビューの話か? 何が事実だよ。どこにでもありそうな展開が似てたってだけでパクリなわけないじゃん。あんなのただの誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)だろ?」
「なっ……」

 淡々(たんたん)と正論を口にする玲衣くんに美乃梨ちゃんの友だちはそれ以上何も言えなくなったのか言葉を失う。
 でも、その代わりのように美乃梨ちゃんが声を(あら)くした。

「だとしても! 文章力もない莉緒ちゃんが受賞なんて絶対おかしい! 一番読まれてて人気もあった私の作品じゃなくて、なんでほとんど読まれてもいない莉緒ちゃんの作品が受賞なの!?」
「美乃梨ちゃん……」

 そう、コンテスト作品の中でずっと一番人気だった美乃梨ちゃんの作品は受賞していなかった。
 最終選考に残った作品も紹介(しょうかい)されてたけれど、そこにもなかったんだ。

 それに関しては私自身もおどろいたから何も言えなかった。
 でも、玲衣くんには理由がわかってたみたい。

「一番読まれてたっていうとあの作品か……。だとしたら当然だろ?」
「え!? 当然なの!?」

 あまりにもハッキリ言うから私の方がおどろきの声を上げちゃった。
 玲衣くんは私を見てうなずいてから美乃梨ちゃんに厳しい目を向ける。
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