【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
「選考中もずっと一番上にあった作品だったし、俺も読んだよ。正直面白かった、でも、それだけだ」
「え? な、なによそれ」

「あのコンテストにはきらめく恋のお話を求めてるって書いてあった。あの作品はストーリーは面白かったけど、恋に関してはちょっとドロドロしててきらめくっていうのとはちがった。編集さんたちが求めてる作品じゃなかったんだ、落選して当然だろ?」
「っ!?」

 そ、そうだったんだ……。
 私は玲衣くんにきらめく恋のお話で書きたいものがあるかどうか聞かれて、ちょうど書きたいものがピッタリだったからあの受賞作を書いた。

 編集さんが求めている作品だったから賞をもらえたんだね。
 今さらながら、納得した。

「で、でもなんで莉緒ちゃんなの!? 私より後に書き始めたのに! 最初の作品なんてひどすぎだったのに!」

 美乃梨ちゃんは自分が受賞出来なかったことには納得したみたい。
 けれど、私の受賞は納得できないらしい。

「そうだよ、あんな文章力で小説書くなんてあり得ない。受賞だってやっぱり何かの間違(まちが)いだよ。さっさと書くのやめればいいのに!」
「っ!」

 涙目(なみだめ)になりながらも私をにらむ美乃梨ちゃんにひるむ。
 でも、そんな私を勇気づけるように玲衣くんがそっと手をにぎってくれた。
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