【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
 信じられなくて、ポカンと口を開けたまま玲衣くんの顔を見る。
 メガネをかけた(すず)やかな顔は真剣そのもので、私の手を(にぎ)る玲衣くんの手はとても熱かった。

「七年前にここで莉緒を守りたいって思ったときからずっと、莉緒をなぐさめるのも守るのも俺の役目だって思ってた。使命感みたいなものだと思ってたけど、ちがった」

 メガネの(おく)の目が、強く私を見つめる。
 その強さに引きこまれて、私は玲衣くんの言葉をただただ聞いた。

「莉緒の執筆(しっぴつ)手伝うようになって、一緒に過ごすことが多くなって気づいたんだ。俺、莉緒のこと女の子として好きなんだって。なぐさめるのも守りたいって思ったのも、好きな女の子だからなんだって」
「玲衣……くん」

 玲衣くんの言葉がうれしくて……でも、だからこそ夢なんじゃないかって信じきれなくて。
 どうしよう、言葉が出てこない。
 なにか言わなきゃって。私も伝えなきゃって思うのになんて言えばいいのかわからない。

「俺、これからも莉緒を守りたい。泣いてる莉緒をなぐさめるのは俺だけの役目でありたいんだ」

 にぎられていた私の手に、玲衣くんがもう片方の手も重ねる。
 包むようにギュッとにぎられて、私のドキドキも最高潮に達した。

「好きだよ莉緒。これからもずっと、俺はお前の薬でありたい」
「っ! れい、くんっ……わ、私っ」

 うれしすぎて(なみだ)がこぼれる。
 私もちゃんと伝えたいのに、嗚咽(おえつ)まじりになっちゃって言葉にならない。
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