【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
 ちょっと落ち着こうって呼吸を整えようとするけれど、早くしようと思えば思うほどうまくいかない。
 玲衣くんはそんな私のほほを包むように手を当てて、親指で涙をぬぐってくれた。

 いつものように涙をぬぐってくれた玲衣くんは、(まゆ)を下げて自信なさげな顔をしている。

「ダメか?」
「ダメじゃない!」

 その表情と不安気味な言葉に私は反射的に答えた。
 玲衣くんにそんな悲しい顔させたくない。

「うれしいの。私も玲衣くんが好き……これからもずっと、玲衣くんといたい」

「……まじか」
「まじだよ?」

 ちゃんと伝えたのに、信じられないみたいな言葉をつぶやく玲衣くんに涙を止めて言葉を返す。
 すると玲衣くんは私から手をはなしてはずかしそうに自分の口元を(かく)した。

「やばい、メチャクチャうれしい」

 耳が赤くなって、照れてる玲衣くんがなんだかかわいく見える。
 そんな姿にもキュンとしてしまった私は、やっぱりどうしようもなく玲衣くんが好きなんだな。
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