初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
「今から湊さんに差し入れ持っていこうよ!忙しくてまともなもの食べてなさそうだし、紫遥ちゃん家政婦として雇ってもらうんでしょ?それくらいしなきゃ」

「けど、かえって迷惑じゃないかな」

「迷惑なわけないよ!それに、世間でもお姉ちゃんはMINATOの専属家政婦として認められてるんだから!ねえ、町田さん。差し入れ持って行ってもいいよね?」

「差し入れはものすごくありがたいんですが、湊さんは人の作ったものにもうるさくて、手作り料理なんて食べるかどうか……」

「あ、それは多分大丈夫だと思います。前に家事代行で伺った時、完食してくれたので」

「そうなんですか!?めずらしい……でしたら、ぜひ!!」

 突然撮影現場にお邪魔するのは気が引けるが、直接会わなくても楽屋に置いていけばいい。それに、ここまで色々やって貰って、何もしないのも申し訳ない。

「じゃあ、準備するので少しだけ待っていてください」
 
 紫遥は早速おかずをタッパーに詰めるため、小走りでキッチンに向かった。
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