初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
そんなことを考えていると、コートを羽織った湊が紫遥の方に駆け寄ってきた。
「お待たせしました」
急いで着替えてきたのか、息を切らした湊は、撮影終わりで髪のセットやメンズメイクを施しているからか、いつも以上に煌びやかに、そして自分が隣に並ぶにはあまりにも美しく見えた。
「じゃあ、行きましょうか。あ、けどその格好じゃまずいかもな……。控え室に着替えがあるので、持ってきます。好きなブランドとか、何かこだわりありますか?」
「えっ?家に帰るだけでしょ?なんで着替える必要があるの?」
そんなにひどい格好をしているだろうか、と心配になって自分の服を見るが、いつも通り白のブラウスにベージュのスラックスというシンプルな格好だ。
「いや、帰る前に少し寄りたいところがあるので」
もう夜の二十三時を過ぎている。今から寄りたいところとは一体どこなんだろうか。考えても見当もつかない。
「真夏ちゃんには連絡してあるので安心してください。とりあえず、行きましょう。こっちです」
そう言ってスタスタ歩き始めた湊の後ろを、紫遥は小走りでついていった。
湊に渡されたダークパープルのワンピースを着て、タクシーで向かった先は、麻布十番の奥の通りにひっそりと店を構えるシックなバーだった。
個室に案内されると、湊はサングラスとマスクを外し、ふぅーと一息ついた。
「ここ、行きつけの会員制のバーなんです。記者とかは入れないようになってるので、安心してなんでも話せます」
「そうなんだ」
「お待たせしました」
急いで着替えてきたのか、息を切らした湊は、撮影終わりで髪のセットやメンズメイクを施しているからか、いつも以上に煌びやかに、そして自分が隣に並ぶにはあまりにも美しく見えた。
「じゃあ、行きましょうか。あ、けどその格好じゃまずいかもな……。控え室に着替えがあるので、持ってきます。好きなブランドとか、何かこだわりありますか?」
「えっ?家に帰るだけでしょ?なんで着替える必要があるの?」
そんなにひどい格好をしているだろうか、と心配になって自分の服を見るが、いつも通り白のブラウスにベージュのスラックスというシンプルな格好だ。
「いや、帰る前に少し寄りたいところがあるので」
もう夜の二十三時を過ぎている。今から寄りたいところとは一体どこなんだろうか。考えても見当もつかない。
「真夏ちゃんには連絡してあるので安心してください。とりあえず、行きましょう。こっちです」
そう言ってスタスタ歩き始めた湊の後ろを、紫遥は小走りでついていった。
湊に渡されたダークパープルのワンピースを着て、タクシーで向かった先は、麻布十番の奥の通りにひっそりと店を構えるシックなバーだった。
個室に案内されると、湊はサングラスとマスクを外し、ふぅーと一息ついた。
「ここ、行きつけの会員制のバーなんです。記者とかは入れないようになってるので、安心してなんでも話せます」
「そうなんだ」