初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
 くちゅ、と部屋に響く卑猥なリップ音と、お互いの荒い息遣いに、紫遥は自分の秘部から蜜が溢れ出すのを感じた。

 徐々に敏感になっていく感覚に、もどかしげに足をもぞもぞと動かすが、弱い刺激が伝わり、余計に下半身が疼くだけだ。

(やだ……なんか、身体が変になってる……)

「どうしたんですか?腰、動いてますけど」

 湊の言葉に紫遥の顔がかあーっと熱くなる。

「ちがっ……!」

「違う?これでも?」

「ひゃっ……!」

 いつの間にか湊の手がジーンズの中に入り込み、思わず声が裏返る。

「あんまり大きな声出さないでくださいね。真夏ちゃん、起きちゃうんで」

 そう言いながら、湊は紫遥の濡れた花弁を下着の上からゆっくりとなぞった。その手の動きはわざと敏感な粒に触れないようにしているようで、もどかしさでまた紫遥の足がピクピクと動く。

「すごい、グショグショですね」

「やめっ……んぅ!」

 紫遥が懸命に声を漏らさないようにするも、湊の手の動きは止まらず、紫遥の敏感な部分を責め立てる。

「やだ……っ、なんでっ……!」

「先輩が俺のこと挑発するから」

 突然の湊の変貌ぶりに戸惑いつつも、紫遥の身体は素直に今の状況を受け入れており、そんな自分に嫌気が差す。

 湊の濡れた唇で口を塞がれても、本気で抵抗することができない。このまま湊を受け入れても、自分が深く傷つくことは目に見えている。

彼は自分のことが好きでこんなことをしているわけではない。これは単なる性欲の発散であり、怒りであり、私への当てつけなのだ。


 すると湊は突然顔を離し、紫遥に尋ねた。



「どうして俺は平気なんですか?」
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