初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
あまりに突然の出来事に、紫遥はぼーっとしながら真夏からの質問に答えた。しかし、久しぶりに湊の声を聞き、自分が浮かれているのがわかる。
デート。なんて甘くて素敵な響きなんだろう。
何を着ていこうか。どんなメイクで行こうか。あまり気合いが入っていると思われても恥ずかしいし、スカートよりパンツスタイルがいいかもしれない。いつものメイクだと地味すぎるから、薬局に行って、少し濃い色のリップを買ってこようか。
そんな考えが頭の中をどんどん占領していき、紫遥はドキドキと鼓動が高鳴るのを感じた。
初めてのデートなのだから、湊に可愛いと思われたかった。
そうでなくとも、湊の周りには常に可愛くて煌びやかな女性が集まっている。彼女たちには敵わないのはわかっているが、少しでも湊の隣にいて恥ずかしくない自分になりたかった。
すると、ふと思い出したように真夏が言った。
「でもさ、なんで突然結婚なの?湊さん、そうまでして紫遥ちゃんを自分のものにしたかったのかな?」
「それは……」
湊が結婚の提案をしたのは、真夏を養子にいれ、山口から守るため。そんな事情を正直に話すわけにもいかない。
「私を安心させるために、結婚を前提にお付き合いってことにしてくれたんだと思う」
「あーなるほどね!」
真夏に嘘をついて、初めてのデートに浮かれていることに罪悪感を感じつつも、「楽しんできてね」と笑う真夏には、やはり本当のことは言えずに、紫遥はぎこちない微笑みを返した。
デート。なんて甘くて素敵な響きなんだろう。
何を着ていこうか。どんなメイクで行こうか。あまり気合いが入っていると思われても恥ずかしいし、スカートよりパンツスタイルがいいかもしれない。いつものメイクだと地味すぎるから、薬局に行って、少し濃い色のリップを買ってこようか。
そんな考えが頭の中をどんどん占領していき、紫遥はドキドキと鼓動が高鳴るのを感じた。
初めてのデートなのだから、湊に可愛いと思われたかった。
そうでなくとも、湊の周りには常に可愛くて煌びやかな女性が集まっている。彼女たちには敵わないのはわかっているが、少しでも湊の隣にいて恥ずかしくない自分になりたかった。
すると、ふと思い出したように真夏が言った。
「でもさ、なんで突然結婚なの?湊さん、そうまでして紫遥ちゃんを自分のものにしたかったのかな?」
「それは……」
湊が結婚の提案をしたのは、真夏を養子にいれ、山口から守るため。そんな事情を正直に話すわけにもいかない。
「私を安心させるために、結婚を前提にお付き合いってことにしてくれたんだと思う」
「あーなるほどね!」
真夏に嘘をついて、初めてのデートに浮かれていることに罪悪感を感じつつも、「楽しんできてね」と笑う真夏には、やはり本当のことは言えずに、紫遥はぎこちない微笑みを返した。