初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
「そういうことですので、仮屋さんにはぜひMINATOの住み込みの家政婦として、最低半年間契約していただきたいと思っております。記者が来て、なにか聞かれた場合の返答集も後ほどお渡ししますね。ここまでで何かご質問はありますか?」

 町田の言葉は随分機械的で、紫遥はすっかり面食らってしまったが、流されないように背筋を伸ばし、気になっている点について聞いた。

 「あの、家政婦として契約することは問題ないのですが、久我くんの家にお邪魔することはできません。知っているかとは思いますが、中学生の妹がいますし、あの広いお部屋であっても、3人で暮らすには十分な広さではないかと……」

 「大丈夫ですよ。先輩が嫌なら、あの家で寝るのは控えるので」

 「けど、だったら久我くんはどこに寝泊まりするの?」

 「自宅です」

 「……?」

 その自宅に三人で住むのが問題だと言っているのに、家で寝ると言ったり、寝ないと言ったり、一体どういうことなのだろうか。

 紫遥の怪訝な顔に気づいた湊は、説明を付け加えた。
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