初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
「そろそろ着きます」

　町田の声でふと窓の外を見ると、見慣れた景色が広がっていた。

「あれ？ここ、私の家の近くですよね？昼休憩が終わったら会社に戻らないといけないんですが」

「会社には、俺から午後休をとると連絡したので大丈夫です」

「えっ？」

「今から生活するのに必要なものを買いに行きましょう。あの家、最低限の物しかないので。二人のベッドやリラックスできるようなソファー。あ、あと、妹さんが遊べるゲームなんかも買いましょうか。勉強机も必要ですよね」

「家から持ってくれば済むことだし、そこまでしなくても……」

「いい機会ですし、全部新しくした方がいいですよ。というか、俺の仕事部屋のインテリアがダサくなるのは嫌なので、いいものを選ばせてください」

「ダサっ……！？」

　

その遠慮のない物言いに、高校時代の湊を思い出す。
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