初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした

11 俺の家に来ませんか

 「よかったらどうぞ!」

 「真夏ちゃん、ありがとう」

 真夏から麦茶の入ったコップを受け取った湊が、そう言って微笑むと、真夏は照れくさそうに鼻の下をかき、紫遥の隣に座った。

 
篠原の姿が見えなくなったあと、フラフラだった紫遥を支え、アパートの部屋まで送ってくれたのは湊だ。

 真夏は湊が紫遥を抱えて来たことと、紫遥の顔が真っ青だったことの両方に驚き、急いで二人を中に招き入れた。

 「それで、一体誰なんですか?あの人」

 「篠原チーム長、会社の上司……」

 「上司がなんで先輩の家まで?」

 「偶然帰りの電車が一緒になって、断ったけど家まで送るって聞かなくて……それで、好きだって、突然抱きつかれたの。なぜか、私も同じ気持ちだと思ってるみたいで……」

 「うわ、何それ!勘違いおじさんじゃん!気持ち悪!!!」

 真夏がそう言いながら、おえっと吐く仕草をした。
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