初めてを捧げたのは、人気俳優になった初恋の人でした
「改めまして久我家の運転手を勤めております、中村と申します。この度は湊様のご依頼で、湊様が所有するこちらのお車でお二人を送迎させていただきます。間違いではございません」

 湊様の所有する、という言葉に頭がクラッとなった。規格外なのは自宅だけではない。金持ちはどこまで行っても金持ちなのだ。



「では、こちらにどうぞ」

 中村がリムジンの後部座席のドアを開け、二人が中に入ると、そこには見たこともない異空間が広がっていた。

 座席はアイボリーの滑らかな質感の生地で作られており、いつまでも座っていられそうな柔らかさで、天井に備え付けられた煌びやかなライトも、長い車内に沿うように備え付けられたバーカウンターも、ここが車の中であることを忘れさせてしまう。

「飲み物やスナックはそちらにご用意がありますので、ご自由にお取りください。それでは真夏様の学校には20分ほどで到着しますので、ゆっくりとお寛ぎくださいませ」
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