近寄りがたいキミの愛にリトライします!



「…………そっか」


 八島くんは私の顔を見てため息を吐いた。そのことがとてもショックで何も言い返せなくなる。


「わ、私もう、図書室で勉強しなくていいや……今まで一緒に勉強してくれてありがとう」


「……うん」


 八島くんの傷ついた、悲しそうな目を見ながら、「じゃあ私、もう帰るね」と伝える。


「送ってくよ。鎌田さん、もう図書室で勉強しないなら今日で最後になっちゃうし」

「…………うん」



 図書室を出た後案の定、無言になる。早く家についてほしいとさえ思っていると、


「俺さ……」


 八島くんが口を開いた。


「俺、鎌田さんのことが好きなんだ」

「…………え」

「だから、一緒の高校に行きたかった。こんなこと、受験前に言うつもりなかったんだけど……無理におしつけてごめん……」


 恥ずかしがっているわけでもなく、


 困った顔をしているわけでもなく、


 八島くんの私に『好き』と言ってくれた表情は絶望に近い顔をしていた。


 八島くんは今好きだと言いたかったから言ったんじゃない。私に絶望してしまったから、今言う選択をするしかなかったんだ。

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