近寄りがたいキミの愛にリトライします!
今の私は八島くんに『好きだ』と伝えることはできない。
「じゃあまた明日、バイバイ」
家の近くに着き、そう告げて八島くんと別れた。
その翌日、
「皆さん、落ち着いて聞いてください。昨夜、八島真人くんが亡くなりました」
先生から八島くんが亡くなったことを告げられた。
原因は交通事故とのことだった。
八島くんが渡っていた横断歩道で、酒に酔った運転手がブレーキを踏まずに突っ込んできたらしい。
私が南高を諦めなければ、八島くんに送って行ってもらうことなんてしなければ、あの絶望的な「好き」を聞かなければ、八島くんは命を落とさなかったような、そんな気がする。
クラスの人たちは八島くんとほぼほぼ接触がなかったからか、他人事のような感じだ。
「今回の件でテレビや新聞などのメディアが学校に訪れると思いますが、何か聞かれても曖昧な返事はしないようにしてください」
先生でさえも八島くんの死はやはりどこか他人事で、
「ってか、志望校に響いたらどうすんのさー」
ーーと、自分の進路のことしか考えられないクラスメイト。