近寄りがたいキミの愛にリトライします！

「ーーう、うん……でも……」

「俺の姉ちゃん今大学生なんだけどさ、来年から家庭教師のバイト始めようかなって言ってんの。で、今は練習の時期だーとか言って俺にめちゃめちゃ勉強教えてくるんだけどさ、俺もとっくに分かってるところを何度も説明してくるから正直うんざりしてて。鎌田がよかったら俺の姉ちゃんに双子の妹任せてみない？」


　「俺もさ、『誰か友達で教え甲斐がある子いない？』って言われてたし、もちろん、金は取らないし」と提案してくれる八島くん。


「そしたら俺も、鎌田宅で勉強できるかもしれない」と、私の家で勉強する気満々の八島くんに、つい、フッと笑ってしまった。

「お姉さん、いいの？　由衣、相当勉強できないよ」

「勉強できないくらいがちょうどいいと思う。姉ちゃん俺に教えるとき、『教え甲斐がない』ってキレてくるから。それにお母さんもさ、自分の子供以外の受験生を目の当たりにしたら考えが変わるかもしれないし、少し距離を縮ませることができたら俺の方からもお母さんに言えるかもしれないし」


　ーーと、既に何か言いたそうな八島くん。