近寄りがたいキミの愛にリトライします!


 「余計なことは言わなくていい!」とお姉さんを追い払う動作をする真人くん。


 私はお姉さんに腕を引かれ、八島家を後にした。

 私の家に着くまでお姉さんは色々な話をしてくれた。家族のこと、真人くんの将来の夢のこと、真人くんが人に興味がない理由。

 真人くんの家は少し複雑で、お父さんとお母さんは真人くんが小さい頃に離婚。その後、お母さんが病気で他界し、今はお母さんの方のおばあちゃんとおじいちゃんが親代わりで面倒を見に来てくれている、と。

 お姉さんはお母さんの死亡保険金を受け取って、高校、大学と行けているらしく、真人くんも高校を卒業して医大に受かったら大学に行かせてあげることができると言っていた。

 真人くんにそんな過去があったなんて知らなかった……

「それなのに私は自分のことばっかりで恥ずかしいです」

「真人が話してないんなら知らない情報だっただろうし由真ちゃんは気にしなくていいのよ!」

「でも……」

「今はね、真人は前を向いて頑張ってるなって思うの。って言っても、ここ一ヵ月くらいで急激にやる気を出し始めたって感じなんだけどね。だから真人の過去に対して『申し訳ない』とか、そういうのは思わないでほしい。真人が今を生きているように、由真ちゃんも今を生きてほしい」

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