近寄りがたいキミの愛にリトライします!


 お姉さんを見ていると、真人くんの話し方にはお姉さんの面影がある。


 妙に説得力があって、私の心の中を全て見透かしているような、それでいて、安心できるような、そんな言葉をくれる。


 高校に受かって、医大に行って、無事にお医者さんになれたら真人くんは良い医者になるんだろうなと、未来の真人くん像が頭を過った。


「由真ちゃんは……将来の夢とかないの?」

 お姉さんからそう聞かれ、私は自分がなりたいものを想像してみる。今思えば、家のこと、由衣のこと、色々大変で自分が将来何になりたいかとか考えたことがなかった。

 なので、

「か、考えたことないです」

 と正直に話すと、お姉さんは「じゃあ、南高に行きたい理由は?」と、また質問を重ねてきた。


「……真人くんが南高に行くって言っていて、真人くんが行くなら私も行きたいって思いました。私が南高に行きたい本来の理由は、真人くんが南高に行くから……です」

 静かにそう告げるとお姉さんは嬉しそうに笑った。

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