近寄りがたいキミの愛にリトライします!
テスト範囲を確認しながらノートと教科書を交互に見て、暗記ノートにまとめていく。
気づいたら一時間ほど勉強していたようで、ふと辺りを見渡すと私と一人、斜め前に座っている男子だけになっていた。
ーーって、あれ……よくよく見ると一緒のクラスの八島くんだ。
八島くんもテスト勉強をしているようで、彼のノートに書くシャーペンの音が図書室に響く。それはとても心地のいい音だった。八島くんの頑張りにつられ、私も「もう少し頑張ろう!」と自分自身を奮い立たせて暗記に励む。
ふと、窓の外を見るともう真っ暗になっていて、スマホで時間を確認すると既に夜の七時になろうとしていた。
「やば! もう帰らなきゃ!」
こんなに遅くまで残るはずではなかったけれど、八島くんにつられて残ってしまっていた。私の声は八島くんにも聞こえているはずなのに、彼は帰る支度をしようとしない。何時までここにいる気だろう。
八島くんとは話したことはないけれど、このまま置いて帰るのも気が引けるため「八島くん、もう校舎閉まっちゃうよ? 多分、もう先生が戸締りにくると思うけど……」
八島くんの真横に立ち、「帰ろう」と遠回しに言ってみる。