近寄りがたいキミの愛にリトライします!
真人くんはベンチのイスに腰かけていた。
首にはマフラーを巻いて、ホッカイロを持って手を暖かくしていた。
もしかして、以前の告白の返事を今されるのかもしれない。
『付き合えない』って言われるかもしれない。
怖くて真人くんに近づけないでいると、
「由真!」
遠くに座っていた真人くんが私に気づき方手を上げた。そして立ち上がり私の方へ近づいてきた。
「ごめん、急に呼び出して。寒いよな」
「ううん、大丈夫だよ。……どうしたの?」
今から告白した返事をされたらどうしようと思うと、怖くて顔が強張る。
「いや、受験明日って思ったらいてもたってもいられなくて……これ」
真人くんが「これ」と言ってポケットから取り出したものは合格祈願と書かれていたお守りだった。
「もう持ってるとは思うんだけど……でも、どうしも渡したくて。明日、頑張ろうな」
「……ありがとう」
お守りを見て、なんだかホッとして目に涙が溢れた。
真人くんが由衣と仲良くするのがイヤだったことや、真人くんがクラスの皆と打ち解けていくのが嬉しいはずなのに、心の中では嫉妬に苛まれていた。
ーーこんな自分がイヤだった。
南高に行けるようになって、真人くんと同じ高校を受験できて、それだけでもう十分なはずなのに。
真人くんが今生きていてくれることだけを感謝しなきゃいけないのに、一難去ったらまた一難と、どんどん真人くんに取り巻く環境に嫉妬していた。