近寄りがたいキミの愛にリトライします!
八島くんは持っていたシャーペンを止め、私の顔を見上げた。
彼の瞳は真っすぐに私を見つめていて、眼鏡を掛けていても綺麗な瞳だと、すぐに気づいた。八島くん自身があまり人と会話をしないからか、八島くんの顔について意識がいかなかったけれど、とても整っていて普通に女子にモテそうな顔をしている。
「家帰っても暇だから」
八島くんの声はとても心地がいい。良い声だなと思った。
「……そ、そっか」
「……うん。鎌田さんはもう帰る?」
「ーーう、うん。今日も本当はこんなに遅くまで勉強するつもりはなかったんだけど、八島くんの後ろ姿見てたら頑張ろうって思って少しいすぎちゃった」
えへへと笑ってみると、八島くんは真顔でノートと教科書を閉じ、筆記用具も鞄に直し始めた。
「やっぱ俺も帰ろうかな。お詫びに鎌田さん送る」
「えっ!? だ、大丈夫だよ! そんなつもりで言ってないから。気を遣わせてしまってごめんね」
「だから気にしないで」と振舞ってみるけど、八島くんはよほど責任を感じてしまっているのか「いや、送る。送らせて」と私に言った。