Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
夫の不貞を責める資格は沙羅にはもうない。離婚に応じてくれなくても、出ていくことは決めた。
しばらく母のアパートでもいい。とにかく離れよう。
その場を去ろうとすると、後ろから冷たい言葉が降ってくる。
「昨日、あいつと会ったよ。殴ればよかった」
「やめて、そんなこと」
「俺が先に浮気したから寂しかっただけだろ?」
「……」
自分でも本当のところはわからない。
寂しいから、辛いから辻村を頼っているだけなのだろうか。
自分が感じている愛情は、ただの思い込みなのかもしれない。
少なくとも誠の不倫がなければ、好意を抱いたとしても一線を越えることはなかっただろう。けれど、体を繋げてから自分が辻村との関係にどんどんのめりこんでいることは確かだった。