Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
あまりにすごい光景を見すぎて、ばちが当たるような気すらした。
色々な感情をわかちあい、時には喧嘩もしながら、日々の幸せを享受している。
トレイにお茶をのせて、日本とは種類の違う寒さにぶるりと震えながら、温室へと向かう。
作業をしていた彼が沙羅に気づく。
「温かいお茶をどうぞ」
「ありがとう。ほら、見て。やっと咲いたよ」
「わぁ……なんてきれいなの」
こちらに来てから新しい薔薇の品種改良をしていたが、それが今日初めて咲いたのだという。
花びらは深い紫色から淡い水色へとグラデーションを描き、まるで夕暮れ時の空のような絶妙な色だった。角度や光の加減によって、印象も変わる。薔薇の香りが温室の中にふんわり優しく広がる。
花びらにそっと触れると絹のような滑らかな手触りがした。
「一番に沙羅に見せられてよかった」
「本当に素敵。お店にも飾りましょう」
「いや、しばらくは沙羅だけに見せたい。それにこの薔薇の名前は沙羅に決めてほしい」
「私でいいの?」
「もちろん」