Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
辻村に、沙羅という名前が好きだと言われたことを思い出す。あっという間に散ってしまう淡く儚い花の名前。
人生もそんなものかもしれない。だからこそ美しく散りたいと願う。
辻村といると、自分がまだ美しいことを知る。それは、美醜の類とは違う、生命としての美しさだった。
不審と寂しさの中、枯れかけていた沙羅を蘇らせてくれたのは、彼だ。
熱い唇が沙羅の体を這いまわる。耐え切れず甘い吐息が漏れた。
「沙羅、愛してる」
低い囁きを聞きながら、遥か昔に諦めてしまった自由を思い出している。