月下の秘密
白雪の少女と美しい魔法使い
 淡い月が照らす夜。少女は自室で、鈴蘭ランプの灯りの下熱心にペンを走らせていた。

 すでに机の上に積み上がってる便箋の高い山が、それを象徴している。


「――できた!」


 やっとの思いで完成した手紙は、まるで一冊の本。ついついあれもこれもと世界観を広げてしまい、壮大な物語が完成してしまう。もし相手があの毒舌少年ならば一体どうなってしまうのか、考えただけでも恐ろしい。


 引き出しの中から蝶のスタンプを押す。それは瞬く間に星の雫を纏った蝶になり、開け放たれた窓から夜空へと飛び立つ。


「今日は疲れたし、もう寝ようかなあ……あ! 今日は月灯蜜の湯だって、ももちゃん言ってたっけ。お風呂入ってこようかな」


 ももちゃんは――“魔法使い”じゃなくても、最初から仲良くしてくれた、唯一無二の友達だ。


 女の子らしい女の子で、よく気が利く。その上可愛いときたら、特に周りの異性はほっとかないだろう。

 
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