来世でまた会おう。
次の日、父と姉は会社と学校を休み一緒に病院に来てくれた。
そこは住宅街から遠く離れ、木や森に囲まれて空気が美味しいそんな場所。
私達家族が病院に入ると、看護婦さんがにこっと軽く会釈をしてきた。私たちも慌てて会釈を返すと看護婦さんはクスっと笑い私の入院する部屋へ案内してくれた。
「こちらが今日から綾さんが入院する部屋です」案内をされたのは四人部屋。入り口から入って右奥のベットが今日から私が入院する場所だ。
部屋に入ると私と同世代ほどの子供が三人入院していた。
私のベットの前には、肌が白く透き通った瞳をした美希という女の子がいる。
美希は私と目が合うとにこっと笑いかけてくれた。とても綺麗な子だなと見惚れていたら、私もつい笑顔を返していた。
美希のベットの隣には、ふくよかな体形をした灰色のニット帽を被った淳という男の子がいる。
淳の机には子供に人気のある漫画が何冊も並べられていた。
淳は急に私の前に現れ「あやちゃん、オレ淳よろしく」そう言って手を差し出し握手を求めてきた。
「淳くんね、うん覚えた。わたしは綾、よろしくお願いします」そう言って握手を返す。
そして私の隣には少し小柄な二重で目がキリッとした拓馬という男の子、拓馬は私達のことを気にする訳でもなく、両耳にイヤホンをつけながら音楽雑誌を読んでいた。
私達家族は同室の三人に挨拶し、衣類やぬいぐるみをカバンから取り出してる最中、看護婦さんに父と母が呼び出され、残された私は姉で荷解きを続けた。
子供達だけになると、姉は「綾をよろしくお願いします」と同室の三人に頭を下げた。
正直私のために頭を下げてくれたのは嬉しかった、けどそれより妹のためにそこまで出来る姉が、私の目にはかっこよく映った。
頭を下げている姉に、美希が「うん、任せておいて」と言って、姉の手をぎゅっと握っていた。
入院初日の夜、私は緊張のあまり寝付けなかった。
慣れない入院生活や家族と離れ離れになる不安など、いろいろ考えてるうちに私はトイレに行きたくなり、そっとベットから起き上がりトイレへ向かう。
病室から出ると消灯時間が過ぎていたため、辺りは真っ暗だった。私は非常口の明かりを頼りに病院内のトイレを探し歩いた。
初めての病院ということもあり、トイレの場所が分からなくなり私は迷子になってしまった。
慌てて周りを見渡すが、人影もなく同じような廊下がひたすら続いている。少し怖くなり私が肩を落とし、ため息を吐くと「ガチャーン」金属らしき物が落ちた音がした。
咄嗟に音がなる方を見たが特に異変などはなかった。私は恐る恐る周りを警戒している「大丈夫?」と声をかけてくれたのは隣のベットの拓馬だった。
「きゃ!!!」
私は急に現れた拓馬に驚き、変な声で叫んでしまった。彼はそんな慌てた私の様子を見てお腹を抱えて笑っていた。
拓馬は私が部屋から出た後、心配になり追いかけてくれたみたいだ。
最初の印象は、他人にあまり興味のない人だなと思っていたが、意外と優しいところにだんだん好感を覚えはじめていた。
私は拓馬に案内され二人でトイレに向かう。
トイレに着くと、私は廊下の突き当たりを指さし「あっちに行って」と拓馬に言う。
「え、なんでだよ」拓馬がそう言うと、私は食い気味で「いいから、あっちで待ってて」と強く言った。
顔を赤くした私をみて「仕方ねぇな」と言い、拓馬が廊下の突き当たりに行くのを確認したあと私はトイレに入った。
トイレから出て拓馬と一緒に部屋に戻ろうとすると、私たちの部屋からぐすんぐすんと、すすりながら泣いてる音がする。
拓馬は口に人差し指をあて「シー」と私に言ってきた。私も人差し指を口に当て頷いた。
淳が泣いているみたいだ。拓馬が言うには淳の両親は忙しくてもう何ヶ月もお見舞いに来れてない様だ。
どうやら私の両親を見て、淳は自分の両親の事を思い出したのではないかと、拓馬は予想した。
朝は楽しそうに笑って過ごしていたが、やはり寂しいと思うところはあったのかと思った。
このまま部屋に戻るのには少し気が引けたので、私と拓馬は夜の病院内を散歩した。
散歩しながら拓馬は、同室の二人の事をいろいろ教えてくれた。美希はアイドルに憧れてて退院したらオーディションをいっぱい受けて自分もアイドルになるって凄く意気込んでいるみたい。
淳は将来弁護士になっていっぱいお金を稼いで親に楽させたいんだそうだ。
きっと両親のことが大好きなんだね
拓馬はその後も二人の話をいっぱいしてくれた。
二人の話をしているその表情はとても楽しそうに見えた。
「拓馬くんは?」私はふと疑問に思い拓馬に言った。
「拓馬くんは将来何になりたいの?」
拓馬は笑って「俺は消防士になりたい。あ、でも二人には言うなよ」顔を赤くしながらそう私に言ってくれた。
「綾はなにになりたいんだよ?」そう拓馬に聞かれたが、私は今までそんなこと一度も考えたことがなかった。
「うーん、わかんない、まだ考え中。決まったら教えるね」そう言って私達は病室へと帰った。
そこは住宅街から遠く離れ、木や森に囲まれて空気が美味しいそんな場所。
私達家族が病院に入ると、看護婦さんがにこっと軽く会釈をしてきた。私たちも慌てて会釈を返すと看護婦さんはクスっと笑い私の入院する部屋へ案内してくれた。
「こちらが今日から綾さんが入院する部屋です」案内をされたのは四人部屋。入り口から入って右奥のベットが今日から私が入院する場所だ。
部屋に入ると私と同世代ほどの子供が三人入院していた。
私のベットの前には、肌が白く透き通った瞳をした美希という女の子がいる。
美希は私と目が合うとにこっと笑いかけてくれた。とても綺麗な子だなと見惚れていたら、私もつい笑顔を返していた。
美希のベットの隣には、ふくよかな体形をした灰色のニット帽を被った淳という男の子がいる。
淳の机には子供に人気のある漫画が何冊も並べられていた。
淳は急に私の前に現れ「あやちゃん、オレ淳よろしく」そう言って手を差し出し握手を求めてきた。
「淳くんね、うん覚えた。わたしは綾、よろしくお願いします」そう言って握手を返す。
そして私の隣には少し小柄な二重で目がキリッとした拓馬という男の子、拓馬は私達のことを気にする訳でもなく、両耳にイヤホンをつけながら音楽雑誌を読んでいた。
私達家族は同室の三人に挨拶し、衣類やぬいぐるみをカバンから取り出してる最中、看護婦さんに父と母が呼び出され、残された私は姉で荷解きを続けた。
子供達だけになると、姉は「綾をよろしくお願いします」と同室の三人に頭を下げた。
正直私のために頭を下げてくれたのは嬉しかった、けどそれより妹のためにそこまで出来る姉が、私の目にはかっこよく映った。
頭を下げている姉に、美希が「うん、任せておいて」と言って、姉の手をぎゅっと握っていた。
入院初日の夜、私は緊張のあまり寝付けなかった。
慣れない入院生活や家族と離れ離れになる不安など、いろいろ考えてるうちに私はトイレに行きたくなり、そっとベットから起き上がりトイレへ向かう。
病室から出ると消灯時間が過ぎていたため、辺りは真っ暗だった。私は非常口の明かりを頼りに病院内のトイレを探し歩いた。
初めての病院ということもあり、トイレの場所が分からなくなり私は迷子になってしまった。
慌てて周りを見渡すが、人影もなく同じような廊下がひたすら続いている。少し怖くなり私が肩を落とし、ため息を吐くと「ガチャーン」金属らしき物が落ちた音がした。
咄嗟に音がなる方を見たが特に異変などはなかった。私は恐る恐る周りを警戒している「大丈夫?」と声をかけてくれたのは隣のベットの拓馬だった。
「きゃ!!!」
私は急に現れた拓馬に驚き、変な声で叫んでしまった。彼はそんな慌てた私の様子を見てお腹を抱えて笑っていた。
拓馬は私が部屋から出た後、心配になり追いかけてくれたみたいだ。
最初の印象は、他人にあまり興味のない人だなと思っていたが、意外と優しいところにだんだん好感を覚えはじめていた。
私は拓馬に案内され二人でトイレに向かう。
トイレに着くと、私は廊下の突き当たりを指さし「あっちに行って」と拓馬に言う。
「え、なんでだよ」拓馬がそう言うと、私は食い気味で「いいから、あっちで待ってて」と強く言った。
顔を赤くした私をみて「仕方ねぇな」と言い、拓馬が廊下の突き当たりに行くのを確認したあと私はトイレに入った。
トイレから出て拓馬と一緒に部屋に戻ろうとすると、私たちの部屋からぐすんぐすんと、すすりながら泣いてる音がする。
拓馬は口に人差し指をあて「シー」と私に言ってきた。私も人差し指を口に当て頷いた。
淳が泣いているみたいだ。拓馬が言うには淳の両親は忙しくてもう何ヶ月もお見舞いに来れてない様だ。
どうやら私の両親を見て、淳は自分の両親の事を思い出したのではないかと、拓馬は予想した。
朝は楽しそうに笑って過ごしていたが、やはり寂しいと思うところはあったのかと思った。
このまま部屋に戻るのには少し気が引けたので、私と拓馬は夜の病院内を散歩した。
散歩しながら拓馬は、同室の二人の事をいろいろ教えてくれた。美希はアイドルに憧れてて退院したらオーディションをいっぱい受けて自分もアイドルになるって凄く意気込んでいるみたい。
淳は将来弁護士になっていっぱいお金を稼いで親に楽させたいんだそうだ。
きっと両親のことが大好きなんだね
拓馬はその後も二人の話をいっぱいしてくれた。
二人の話をしているその表情はとても楽しそうに見えた。
「拓馬くんは?」私はふと疑問に思い拓馬に言った。
「拓馬くんは将来何になりたいの?」
拓馬は笑って「俺は消防士になりたい。あ、でも二人には言うなよ」顔を赤くしながらそう私に言ってくれた。
「綾はなにになりたいんだよ?」そう拓馬に聞かれたが、私は今までそんなこと一度も考えたことがなかった。
「うーん、わかんない、まだ考え中。決まったら教えるね」そう言って私達は病室へと帰った。