衝撃サイダーマン
中村さんや小林さんの言う通り、その日の退社後、会社のエントランスで後ろから呼び止められた。

「三谷さん!」
檸檬が振り返ってみると、名前は知らないが隣の部署の男性社員だった。

「はい?」

「三谷さん、今帰り?」

「はい。あの〜仕事で何かありましたか?」

「いや、仕事じゃあないんだけどさ〜
俺! 隣の部署の進藤 学〈しんどう まなぶ〉っていいます。
三矢係長補佐と婚約したって本当?」

「はい。本当ですが…」

「でもさ〜、三谷さんのストーカー排除のための擬装婚約者なんだろ?」

「ああ、その件は撃退していただきまして〜、 その…お互い惹かれたと言いますか…」

「でも、まだ結婚してるわけじゃないだろ?」

「はあ…まだ結婚はしてませんが…」

「もしかして、お互いのご家族にも挨拶されたの?」

「はい。お互いの家族とも仲良くしてますが…」

「そうなんだぁ…俺さ、君が入社してから気になる存在っていうか…
本当は、話すチャンスをうかがってたら婚約しちゃうし…
俺のこの気持ちをどうしたら良いかわからなくなって…
でも、君は三矢係長補佐が好きなんだね」

「進藤さんすみません。
私は星夜さんと付き合いは短いかもしれませんが、彼を信頼してますしこれからもずぅーと一緒にいたいからプロポーズを受けたんです。」

「そうかぁわかった。キッパリ諦めるわ。
俺の話しを聞いてくれてありがとう。」と進藤さんは私に頭を下げた。

私も慌てて、「本当に申し訳ございません」と頭を下げエントランスから外へ出た。
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