恋と、涙と、先輩と
たったそれだけのことだけど、にこりとも笑ってくれないあっくんに声をかけることに、とんでもないほどの勇気を費やす。


それなのにお母さんも先生も、なにかあるとわたしにあっくんへの用事を頼むのだった。


――だから、ついに言われてしまった。


「…あっくん、またお母さんが――」

「あのさぁ…、みくり」


朝の下駄箱。

あっくんはわたしから渡されたものを仕方なさそうな表情で受け取ると、わたしのほうを振り返った。


「変わらず話しかけてくるけど、あんなことあってみくりは気まずくないの?オレは正直…周りの目とか気になって、あんまり話したくないんだけど」

「ご…ごめん」


わたしだって気まずい。

でも最近、やたらとあっくんにことづけを頼まれるから…。


「オレたち、もう“幼なじみ”じゃないんだよ。オレ、あのときちゃんと言ったよな?みくりとは付き合えないって」
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