恋と、涙と、先輩と

「今は敦とは気まずいと思うけど、そのうち時間が解決してくれるからさ」


羽賀先輩はあれこれ聞いてくることなく、やわらかい言葉をかけてくれる。


「でも…わたし、あっくんから拒絶されてて…」

「他人(ひと)のことは言えないけど、たぶんよく言う『思春期』ってやつだよ。俺も、告白したとかされたとか、周りから冷やかされると妙にカリカリしてた時期があったから」

「羽賀先輩でも…？」

「うん。そのせいで、敦も藍原にきつく当たってるだけだと思うよ」


たしかに前に、あっくんは周りの目が気になるから話しかけてこないでと言っていた。

本当はそんなつもりなくて、冷やかされてついそう言ってしまっただけなのかな。


「俺でよかったら話し相手になるから。１人で考え込まないで」

「ありがとうございます」