恋と、涙と、先輩と
「ねぇ、みくりちゃん!知ってる!?」


休み時間に話しかけてきたのは、同じクラスの女の子たち。

なぜかつかまえられて、教室の隅に連れていかれる。


「どうしたの?」

「さっき聞いたんだけど、敦くんってみくりちゃんのことが好きらしいよ!」

「…えぇっ!?」


思わず変な声が出た。

慌てて手で口を塞ぐ。


「シー…!!みくりちゃん、声大きいよ…!」

「ご…ごめんっ。でも、つい驚いちゃって…」


クラスのみんなが怪しそうな目で、隅でこそこそ話すわたしたちに目を向ける。

幸い、あっくんは教室にはいなかった。


「だけど…、どこからそんなデマがっ…」

「デマじゃないよ!本当なんだって!」

「敦くんがそんな話をしてたって、隣のクラスの友達が言ってたよ!」

「で…、でも…」


あっくんがわたしにそんな素振り、一度だって見せたことがない。
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