恋と、涙と、先輩と
「みくり!待った?」

「ううん。今きたとこ」


ということにしておく。


神社の階段を上るのは2回目。

すると、横から視線を感じた。


「あっくん…、どうかした?」

「…いや。その浴衣…、みくりに似合ってるなって思って」


それだけ言うと、あっくんは顔を背けてしまった。


でもわたしは、たしかに聞いた。

聞き間違いなんかじゃない。


あっくんのために選んだこの浴衣…、似合ってるって。


暗がりだからよかった。

じゃなきゃ、照れて顔が真っ赤になっていることに気づかれてしまうから。


このうれしさを、できることなら今すぐに羽賀先輩に伝えたい。

そう思っていた。


「みくり、なに食べる?やっぱり最初はフランクフルト?」

「そ…そうだね」


さっきも食べたけど。

と思いつつも、わたしは2本目のフランクフルトを食べる。
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