恋と、涙と、先輩と
…2本目だからかな。

さっきはあんなにおいしいと思ったフランクフルトも、今は普通。


「でも…いいの?わたしと2人でいるところ、だれかに見られるかもしれないよ…?」


周りの目が気になるからと言って、告白以降わたしと2人きりになることを拒んでいたあっくん。

それなのに、今は以前のように接してくれる。


うれしいけど、…なんだか変な感じ。


「まあ、こんなに人がいたら知り合いに会うことも少ないだろ」

「それはそうかもしれないけど…」


だけどさっき、羽賀先輩のクラスメイトには会ったから、どこかでだれかに会う可能性は十分にあり得る。


「そんなの気にしたってしょうがないじゃん。行こうぜ」


そう言って、あっくんは人混みの中へと入っていく。

キョロキョロと辺りを見回しながら、まるでだれかを探しているかのように。
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