恋と、涙と、先輩と
途中で、かき氷の出店の前で浴衣姿の女の子たちのグループを見かけた。


知っている顔だからすぐにわかった。

あれは、サッカー部のマネージャーの人たちだ。


それにあっくんも気づく。


サッカー部の知り合いにわたしと2人でいるところを見られたら、また週明けに変な噂になっちゃうかもしれない。

ここはバレないように、別のほうへ行こう。


そう思ったのだけれど、なぜかあっくんがわたしの手を引く。


「かき氷食べようよ」

「…えっ!?」


だから、そのかき氷のところにはあっくんの知り合いがいるっていうのに。


「でもわたし、あんまりかき氷の気分じゃないんだけど…」


それに、さっきも食べたし。


「いいじゃん。オレが食べたいから」

「まっ…待って――」


わたしが止めるのも聞かず、あっくんはずんずんとかき氷の出店のほうへ向かう。
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