Close to you
「それじゃ、なんの意味もない!」
私はイライラをぶつけるようにして叫んだ。
「誰か一人でも悪いことをすれば、同じグループの人たちは全員が同じ目で見られるの!」
「おっしゃる通りです……でも本当に意味のないことだとお思いですか?」
私は弾かれたように奥野さんの顔を見た。
別に、彼女の言葉に感激したとか感銘を受けたとかじゃない。奥野さんに、真弓への伝言を頼まないといけないのを思いだしたからだ。
ここで不興をかって、「自分で伝えてください」と拒否されるのだけは絶対に避けたい。
「そうね……奥野さんの言う通り、私ったらなにも考えずに偉そうなことを……」
「いえ、私はわかってくださるならそれで……」
「ええ、今は真弓をどう説得するか考えましょう」
私はあごに指を当て、考える素ぶりを見せてから口を開く。
「奥野さんから伝えてくれない?」