Close to you
私の提案に、奥野さんはきょとんとした顔になった。そこをすかさず畳みかける。
「私が言うより、奥野さんが言ったほうが聞いてくれるはずだって!」
「家族よりも友だちの姉のほうが、ですか?」
「あの子はそういうタイプだから……ね?」
ダメ押しで祈るように手を組んでみせると、奥野さんは眉間にシワを寄せてなにやら考えこんでしまった。
これで拒否されたらどうしよう……と内心は緊張しているのを隠して、奥野さんを見つめる。
「ではこうしましょう」
奥野さんはにっこりと笑った。
「伝言は伝えます、真弓様についても調べます」
「調べる……?」
奥野さんは大きくうなずいた。私は「伝言を引きうけてくれるのはありがたいけど」と続ける。
「調べるってなにを……?」
「真弓様と西校の人たちとの詳しい関係を、です」
奥野さんはさらに言葉をつむぐ。
「もし真弓様が脅されて関係を続けているなら、また色々と考えなくてはいけません」
「まぁ、それはそうね……」
奥野さんの言うことは最もだと思った。もし脅迫されているなら、真弓のほうから関係は切れない。
私はうなずいて、奥野さんに任せることにした。