Close to you
「それで真弓は反発して……」
「そう」
奥野くんはそのときの様子を思いだしたのか、今にも舌打ちをしそうな顔で遠くを見る。
「西校にいる別のグループかもしれないのに、勝手に決めつけるなって」
「西校にも派閥があるんだね……」
「え?」
「ああその……西校にもそういうことするグループと、しないグループがあるんだね」
私が慌てて言いなおすと、奥野くんは小さくうなずいた。
「そう、ほとんどは普通の人に迷惑かけたりしねぇグループばっかり」
「真弓はよりにもよって……」
「しかもそいつら、ヤクザと関係があるって噂もあって……」
私は思わず米神を押さえた。人差し指となかゆびからは強い脈を感じ、目を閉じて深呼吸をくり返した。
「大丈夫?」
奥野くんがしゃがみ、私の顔をのぞき込んだ。
「噂だから、ホント、あくまで噂」
「大丈夫、ありがとう」