Close to you
それをずっと、ずうっと守ってきた。
「あなたはあの子とは違う……お母さんを煩わせない、そうよね?」
「はい」
「あなたのためを思ってやっていることなの、わかるわよね?」
「はい」
お母さんはあからさまにホッとした顔をして、私をギュッと抱きしめた。
「わかっているなら、それでいいの」
耳に甘い声が注がれて、胸焼けを起こしそうになる。
「さあ、お風呂に入っていらっしゃい」
私は「はい」とだけ返して、逃げるようにバスルームへと向かった。
無心になって、お母さんに言われた通りの手順でお風呂に入る。
監視されているわけでもないのに、どうして律儀にお母さんが決めたルールを守っているのか、と考えるのはとうの昔にイヤになってしまった。
……考えても、ムダなことだから。
お風呂から上がって、用意された麦茶を飲んで髪を乾かす。