Close to you
みじめな恋の転末
それだけ書いて、その日はそのまま眠った。
次の日の朝。
お母さんが決めた起床時間よりも早起きして、音を立てないようにして離れに向かう。
お祖母ちゃんのために作られた、バリアフリー完備の離れはトイレもバスルームもある。
ないのはキッチンくらいのもので、好きに外出できるよう、小さな玄関まで作られている。
だから、離れから出てこなくてもお金さえあれば生活はできてしまう。
真弓は小学生のときからほぼこの離れで暮らしていた。このころから顔をあまり合わせなくなって、お祖母ちゃんが亡くなってからは完全に引きこもってしまった。
お母さんは一ヶ月に一度、お金を封筒に入れてドアのすき間に差しこんでいるから、なんとか生きてはいるんだろうと思っていた。
(でも、ちゃんと学校に通っていただなんて……)
しかも友だちまでしっかり作っていた。