Close to you
「私はね、私を愛してくれる人がほしかった」
今度は呟くように言った。
「なんの価値もない私を、好きになって大事にしてくれる人が」
真弓の唇が歪む。
私は真弓の独白を聞きながら、「それはお祖母ちゃんのことじゃないの」と言いたかった。
お祖母ちゃんはいつでも真弓をかわいがって慈しんだ。小学校受験の合格発表日までは私も一緒になって良くしてもらった。
だけど、小学校に入学してからはほとんど会話をしなくなった。
お母さんが不機嫌になってしまうから、というのもあるけど、真弓への遠慮が最大の理由だった。
お母さんは私だけを娘だと思っている。でもお祖母ちゃんにとっては私も真弓も孫。それじゃ不公平だ。
これからは、私がお母さん、真弓はお祖母ちゃんに大事にしてもらえばいい。
そう考えて、お祖母ちゃんとはもう関わらないようにした。
そうすれば、この家は平和になる。