Close to you
4.わたしのありか
氷のカケラ
それから1週間後──。
真弓はまだ目を覚さない。
私は真弓が入院した日から、学校から家までお母さんに送り迎えをされることになった。
わずかな自由時間さえ、私にはもうない。
他に変わったことといえば、また新しい家政婦さんがやってきた。
お母さんの言いつけをよく守り、私ともしっかり距離をとって働いてくれている。
離れには、とうとう誰も寄りつかなくなってしまった。
お母さんも、私も、新しい家政婦さんも。
そんな部屋はないかのように日々を送っている。
……真弓が退院したら、またいつもの日常に戻るだけだ。
ただそれだけ。
私は自分に何度もそう言って、奥野さんたちのことを頭のどこからも追いだそうとした。
奥野さんからもらった手紙や写真は、全部破いて捨てた。
それなのに。
ふとした瞬間に、2人の顔が浮かんでしまう。