Close to you
「全部、アンタたちのせいだ」
「え……」
「真弓がこんなことになったのは、アンタたちが余計なマネをしたせいだ」
私は奥野くんを睨みつける。うろたえる奥野くんに追いうちをかけるために、私はまた口を開いた。
「あの子は、騙されていても幸せだった」
「それは……」
「あの子、自分が騙されてるって知ってたんだよ」
「!」
「それを、アンタたちがぶち壊した」
奥野くんは冷静な表情に戻る。
「だけどあのままだったら、もっと酷いことになってた」
「これ以上に酷いことがある?」
私は眠りつづける真弓に顔を向けて、「よくそんなこと言えるね」と吐きすてた。
「同情するのはそんなに楽しい!?」
「な……!」
「かわいそうな真弓や私を救って、ヒーローになりたかったんでしょう?」
「違う」
「残念だね、こんな結果になって」
私はせせら笑ってみせた。