Close to you
驚いて顔を向けると、お父さんが息を切らして立ちつくしていた。
「お父さん……?」
私が恐る恐る声をかけると、お父さんはすぐに我に返って病室に入ってきた。
「真弓が緊急入院したと、奥野さんという方から連絡があって……」
「奥野さん?」
どうしてここで奥野さんの名前が出てくるんだろう。
私の疑問を察したのか、お父さんは打ちひしがれた様子で丸イスに座り、ぽつぽつと事情を説明しはじめた。
奥野さんから、お母さんから真弓や私がどんな仕打ちを受けているかの証拠が送られてきたこと。
大慌てで連絡を返そうとしたら、今度は真弓が入院したと連絡を受けたこと。
お母さんに事情を確認しようとしたら、証拠はでっちあげで、真弓もただのインフルエンザだと言いだしたこと。
お母さんはさらに、奥野さんは窃盗がバレて、腹立ちまぎれにそんなウソを吐いているとまで言いはっていること。
……目の前がクラクラした。